「日本のだいたい中心(岐阜県)からRazer愛を叫ぶ」は、私が愛してやまないRazer製品を紹介していくコーナーです。定番のものから日本未発売のレア物まで様々な製品をレビューします。
ゲーミングデバイスでは他の追随を許さないRazer。ゲーム好きなら誰でも一度はあこがれ、その高額の壁にひるんだ経験がありますよね?
Razerからは新旧含めてたくさんの種類のゲーミングキーボードが発売されており、それぞれの特徴や違いが分かりにくこともあります。
そこで今回はRazerのゲーミングキーボードのスペックを比較をする上で重要なシステムや用語についてお話したいと思います。
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Contents
Razerのゲーミングキーボード選びに欠かせない用語
キースイッチ:メカニカルとメンブレン
キーボードスイッチとも呼ばれます。一般的なメカニカルタイプとメンブレンタイプに加え、Razerではその両方の特徴を併せ持つ独自開発のメカ・メンブレンタイプもあります。
まずは、一般的なメカニカルタイプとメンブレンタイプについて見ていきましょう。
メカニカルスイッチ
メカニカルスイッチの仕組み(Razerのホームページより)
キーを押すとステムが下向きに移動し、スイッチが有効になり作動が開始されるまでバネが押し下げられます。キーを離すと、バネが元の位置に戻ってキーがリセットされます。
ひとつひとつのキーが個別のスイッチになっているため、ユーザーにとってはメンテナンスしやすい反面、高額なキーボードになります。
メカニカルキースイッチは、ZF Electronics社(ドイツ)の「CHERRY MXスイッチ」が有名です。クリック感のあり・無しやタイピング時のストロークの重さはスイッチの「軸」の色で区別ができます。タイピング感の軽い順に「赤軸<茶軸<靑軸<黒軸」となり、「CHERRY 赤軸」といった呼ばれ方をします。
メカニカルスイッチと聞くと、カチャカチャと「クリック感・クリック音」共に大きいと思いがちですが、スイッチ内部の構造をカスタマイズすることで、感覚は大きく変わります。例えば、CHERRY赤軸のようにクリック感がなく、柔らかいキータッチのスイッチにもなります。
Razerはタイピング入力に使われていたこのCHERRY MXのメカニカルスイッチを、世界で初めてゲーミングキーボードに使用しました。
下の写真は、Razer BlackwidowのCHERRY靑軸。写りが悪くて申し訳ありませんが、天地反対向きで「CHERRY」の文字が見えます。

Razer BlackwidowのCHERRY靑軸
メンブレンスイッチ
キーボードの下に一枚の膜のようなシート型スイッチ(メンブレンシートスイッチ)が敷く構造。メンテナンス性は低いですが、単純な構造で製造コストを低く抑えることができるため、一般的によく見られるタイプのキーボードです。ノートパソコンに多いパンタグラフ式のキーボードでも同じようにメンブレンシートスイッチが使われています。
Razerでは、「Razer DeathStalkerシリーズ」や「Razer Nostromo」「Razer Anansi」といったかなり初期のキーボードで使用されていましたが、最新のキーボードで採用されているものはありません。
Razer独自開発のキースイッチ:メカニカルとメカ・メンブレン
Razer独自開発のメカニカルスイッチ
Razer製品では、2010年の初代「Razer BlackWidow」「Razer BlackWidow 2013」までは、CHERRY 青軸が採用されていましたが、「Razer BlackWidow 2014」以降は、Razer独自開発のメカニカルスイッチを使用するようになりました。
当初はCHERRY 靑軸に近い、「緑軸(グリーンスイッチ・Razer Green Switch)」とCHERRY 赤軸と茶軸の間くらいの感覚の「オレンジ軸(オレンジスイッチ・Razer Orange Switch)」のみでした。緑軸は、「Razer BlackWidow 2014」以降のBlackWidowシリーズと「Orvweaver Chroma」のスイッチです。オレンジ軸は、「Razer BlackWidow 2014 Stealth」のスイッチですが、「Stealth」とあるように、静音性を謳ったモデルに使用されており、メンブレンキーボードの「DeathStalkerシリーズ」を引き継いだといえます。
さらに「Razer BlackWidow Chroma V2」からは「黄軸(イエロースイッチ・Razer Yellow Switch)」が追加されました。
下の写真は、Razer独自開発の緑軸。先ほどの靑軸の写真と同様、写りが悪くて申し訳ありませんが、「RAZER」の文字が見えます。

Razer独自開発の緑軸(グリーンスイッチ)
Razer独自開発のメカ・メンブレン
ここまでメカニカルタイプとメンブレンタイプのキースイッチについて見てきましたが、Razerではその両方の特徴を併せ持つ独自開発のメカ・メンブレンタイプのものもあります。
キータッチが柔らかく単純な構造のメンブレンタイプは確実なクリック感が伝わりにくいこともあり、素早く正確な入力には向いていません。メカニカルタイプは確実なクリック感がある反面、ストロークの深さ、重さによって長時間の使用には向いていません。
そこで、メカニカルキーボードとメンブレンキーボードの融合として開発されたのが「メカ・メンブレン」キーボードです。
メカ・メンブレンについて(Razerのホームページより)
「ソフトなクッション性」と中程度の高さを持つキートップ構造により、キーボード全体で自由に指を動かすことが出来、コマンドを瞬時に実行することが出来る「サックリとしたクリック操作性」の両方を結合した革新的な「Razer メカ・メンブレン」テクノロジー(特許出願中)です
お互いの短所を補い合い、良いところ取りをした訳ですね。メカ・メンブレンは「Razer Ornataシリーズ」や「Razer Tartarus」で使用されています。

Razer Ornataのメカ・メンブレン
番外編:Razer 超薄型プロファイルスイッチ
Razerのゲーミングキーボードには、上記の「メカニカル」と「メカ・メンブレン」タイプの2種類ですが、AppleのiPad用に開発された「Razer 超薄型プロファイルスイッチ」というものもあります。
- Razer 超薄型プロファイルスイッチについて(Razerのホームページより)
Razer 超薄型プロファイルスイッチは、Razer グリーンスイッチと同様のクリックと触感を提供しながら、モバイル性を大幅に向上しています。 チクレットスタイルのキーキャップ向けに最適化された作動開始・終了のストローク範囲を特長としているため、移動中でも今までにないスピードを実現できます。
現時点では、 iPad Pro 12.9インチ用の「Razer Mechanical Keyboard Case for Apple iPad Pro 12.9 inch」のみに採用されています。iPad Pro 12.9インチ用キーボードケースは、10,000~15,000円の価格帯が多い中、頭一つ飛び抜けて高額ではありますが、「Razer x Apple」の組み合わせは、まさに夢のタッグだと思うのは私だけでしょうか?
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Razer Synapse(レーザー シナプス)
Razer製品の環境設定やChromaライティング、キー、マクロ設定などは全てこのRazer Synapseという統合ソフトを使用します。設定はクラウド上に保存されるので、どれだけ用途があるか疑問でもありますが、自宅以外でもインターネット経由で設定を読み込むことができます。現在のバージョンは2.0で、ユーザーインターフェイスやマクロ設定方法などを大幅に改良した「Razer Synapse 3」のリリースが近いようです。
他メーカーのゲーミングデバイスもそれぞれ同様のオリジナルの統合ソフトが使われています。ヘッドセットとキーボードのメーカーが異なると、当然、それぞれ別のソフトで管理が必要になりますが、Razerで統一すれば、Razer Synapseで一元的な管理ができます。
Razer Chroma(レーザー クロマ)ライティング
1,680万色のカラーオプションで点灯パターンをキーボードのキーごとにカスタマイズできるLEDイルミネーション機能が「Razer Chromaライティング」です。Razer Synapseを使ってライティングのカスタマイズをします。RazerがChromaライティングをキーボードで初めて採用したのが初代「Razer BlackWidow Chroma(2014年10月)」。以降、製品名に「Chroma」とついているものはマウスでもヘッドセットでも、全てこの機能があります。
実は、古くはRazer製品のライティングは青色が主でした。その後、キーボード全体が緑色に光るようなモデルが増え、現在は、Chromaライティングを採用する製品が増えてきました。
一般的なゲーミングキーボード選びにも必要な用語
ここからは、Razerのゲーミングキーボードに限らず、一般的なゲーミングキーボード選びにも必要な用語、キーワードについてお話したいと思います。
アンチゴーストとキーロールオーバー
アンチゴーストとは、複数キーをほぼ同時に連続で入力した際に、そのそれぞれのキーを正確に認識する機能。キーロールオーバーはアンチゴースト機能の付いたキーを押した際に同時認識できる(同時認識され続ける)数です。
例えば、「全キーがアンチゴースト機能・10キーロールオーバー」ですと、どのキーを押しても10個までの同時入力を認識する(認識し続ける)という意味です。
もっと極端な例ですと「W,A,S,Dキーのみアンチゴースト機能・4ロールオーバー」は、移動キーのみにアンチゴースト機能が付いていて、このキーのみ同時認識が可能ということになります。移動キー以外のキーにはアンチゴースト機能が付いていませんので、ロールオーバー自体が意味をなしません。
現実的に考えて、20キーも同時に押す(押し間違う)こともありませんので、全キーがアンチゴースト機能であれば、10キーロールオーバーがあればじゅうぶんだと思います。
- アンチゴースト機能について(Razerのホームページより)
ピアノの鍵盤を10本の指すべてで押すと、10個の鍵盤が同時に鳴ります。これと同じ効果的な機能がアンチゴースト対応キーボードにも実装されています。つまり、ゲーム中にキーを押すと、それが同時に正確に登録されます。たとえば、画面上を対角線状に走って敵と乱闘する場合(W、A、F を同時押し)、ゲーミングキーボード以外のキーボードではハードウェアに限界があるため、各アクションを実行することはできません。これは、敵に勝つか負けるかを分ける極めて重要な要因です。
マクロキー(キーボードマクロ)
ゲーム操作では、長く複雑なコマンド入力や「SHIFT+Z」のように、複数キーを同時、もしくは連続入力をしなくてはならない場面もあります。マクロキーがあれば、それらの一連のキー操作をあらかじめ設定でき、そのキーを押すだけでそのコマンドが実行されます。
「Razer BlackWidow Ultimate Stealth」や「Razer BlackWidow Chroma V2」などのRazerゲーミングキーボードにもマクロキーがありますが、「Tournament Edition」にはありません。
「Razerのゲーミングキーボード選びに欠かせない用語」まとめ
いかがでしたでしょうか?
私は、記事を執筆しながら、ゲーミングキーボードにはたくさんの技術が詰め込まれているんだなと改めて感じ、ますますRazerのゲーミングキーボードが好きになりました。
また機会があれば「Razerのヘッドセット選びに欠かせない用語」なんかも記事にできればと思っています。
今回の記事が、少しでも皆さまのお役に立てましたら幸いです。