RazerからゲーミングマウスRazer DeathAdder Essential(レイザー デスアダー エッセンシャル)が発売されました。価格は6,480円と比較的安価でエントリー向けのようですが、注目すべきはそのスペックの低さ。
冒頭から恐縮ですが、今回の記事では少し残念な印象があるRazer DeathAdder Essentialの特徴やスペック、購入方法、上位機種のDeathAdder Eliteとの違いなどについてお話をしていきたいと思います。
Contents
Razer DeathAdderシリーズの歴史に新たに加わった「Essential」
「DeathAdder (デスアダー)」の名前の由来
Razerのゲーミングマウスには蛇の名前が付けられるのが通例。
DeathAdder (デスアダー)は、オーストラリアに生息するコブラ科の毒ヘビの名前が由来だと思われます。
DeathAdderシリーズの特徴と歴史
Razer DeathAdderシリーズは左右非対称型の右利き用マウス。同社の数あるゲーミングマウスの中でも最も売れている主力製品です。
2006年に北米で発売された初代の「Razer DeathAdder」以降、これまでバージョンアップ版や「Razer DeathAdder Chroma(クローマ)」「Razer DeathAdder Elite(エリート)」、更には黒い砂漠やOverwatchといったゲームとのコラボモデルなどが発売されています。
エントリー向けの「Essential(エッセンシャル)」
最近のRazerの傾向として、名前に「Pro」や「Elite(エリート)」が含まれるハイエンドと、「Essential(エッセンシャル)」といったエントリー向け製品とのすみ分けが顕著になってきています。
DeathAdder Essentialも上位機種「DeathAdder Elite(以下、Elite)」と比べると価格やスペック面で明らかにエントリー向けです。
同じく「Essential」の名前が付くデバイスには、先日、日本国内でも発売が開始された「Abyssus Essential」があります。
[clink url="http://www.razerlove.com/abyessen"]
Razer Abyssus Essential(RZ01-02160300-R3M1)
DeathAdder Essentialの特徴とスペック、DeathAdder Eliteとの違い
DeathAdderシリーズ最上位モデルのDeathAdder Eliteとの違いを比較しながら、DeathAdder Essentialの特徴とスペックについてお話をしていきます。

←左:DeathAdder Elite
→右:DeathAdder Essential
センサー解像度:Essential 6,400dpi VS Elite 16,000dpi
DeathAdder EssentialもEliteもオプティカルセンサー(光学センサー)を搭載していますが、Essentialのセンサー解像度が6,400dpiなのに対し、Eliteは16,000dpiと最大解像度が大きく異なります。
プレイするゲームジャンルや用途によっては気にならない差なのかも知れませんが、2012年に発売された「DeathAdder 2013」と同じ解像度とは、近年のRazerのゲーミングマウスの中でもかなり低スペックなセンサーに驚きです。
また、モバイル用途のRazer Atherisでさえセンサー解像度は7,200dpi。
Atherisのホームページ上では「ゲーミングマウスレベルの精度を実現」「モバイルマウスとしては最高レベルのdpiを誇ります」と表現されていることから、この7,200dpiはRazerとしてもゲーミング用途として最低限と考えているようでもありました。
その他にもDeathAdder Essentialは「トラッキング速度:220IPS、最大加速度:30g(Eliteは450 IPS / 50g)」と、なぜ今この低スペックなのかと疑問を感じずにはいられません。
もちろんセンサーだけでマウスの性能を単純比較することはできませんし、数字の違いをどれくらい体感できるのかという問題もあります。ですが、後述する上位機種の実勢価格とスペックを考えると、エントリー向けやセカンドマウスとしての購入も考え難い気がします。
クリック耐久回数:Essential 1,000万回 VS Elite 5,000万回
Razerではゲーミングマウスでもキーボードでもその耐久度の高さを謳うものが多く、それだけゲーム用途での激しい使用環境を想定しています。
しかし、DeathAdder Essentialのクリック耐久回数は1,000万回と、上位のEliteが誇る5,000万回に比べてかなり劣ります。
1,000万回のクリック数を耐用年数に直すとどれくらいなのか目安が分かりませんが、この数字はクリック回数以外にも強いクリックや連打、万が一の落下などの衝撃への耐久度にも多少関連があるのではないかとも思えます。
ボタン数:Essential 5個 VS Elite 7個
DeathAdder Essentialのボタン数は5個と、Eliteの7個よりもホイール下の2ボタン分、少なくなっています。
Eliteのこのボタンは初期設定ではDPI変更に割り当てられていますが、6400DPIしかないDeathAdder Essentialには必要なかったのかも知れません。
Chroma:Essential 非対応 VS Elite 対応
Razerのゲーミングデバイスの代名詞ともなったRGBライティング「Razer Chroma」。最近では「Razer Tartarus V2」のように製品名にChromaと付いてなくてもChroma対応のものも多くなってきました。
そんな中、DeathAdder EssentialはChromaには非対応。但し、スクロールホイールとRazerのロゴ部分が緑色には光ります。
スペック比較まとめ
DeathAdder Essential | DeathAdder Elite | |
大きさ 横×縦×高さ(mm) | 127×73×43 | 127×70×44 |
重さ ※ケーブル除く | 96g | 105g |
センサー | 解像度最大6,400DPI 光学センサー | 解像度最大16,000DPI 光学センサー |
トラッキング速度 /加速度 | 220IPS / 30g | 450IPS / 50g |
クリック耐久度 | 1,000万回 | 5,000万回 |
ボタン数 | 5個 | 7個 |
Chroma | × | 〇 |
統合ソフト | Razer Synapse 3 | Razer Synapse 2 |
DeathAdder Essentialの購入方法
Razer公式オンラインショップで購入可能
当記事の執筆時点では、DeathAdder EssentialはRazer公式オンラインショップでのみ購入ができます。※日本国内の量販店などでの国内発売ではありません。
価格は6,480円ですが別途送料980円が掛かりますので、合計7,460円。
ですが、最上位モデルDeathAdder Elite(2016年発売)のAmazon.co.jpでの実勢価格は6,596円。
送料を除けば100円程度の価格差で、センサー解像度も大きく劣り、ボタン数も少なく、Chromaにも非対応のEssentialを購入するメリットを私は感じることができません。
Razer公式オンラインショップ上では、DeathAdder Eliteは10,800円と実勢価格とは大きく異なりますのでEssentialとの価格の差別化は出来ているとも考えられますが、ユーザー心理として、目に見える数値で劣っているものを上位機種の実勢価格と比較せずに購入するのか疑問です。
Amazon.co.jpで販売中の「Razer DeathAdder Essential」とは違う
以前のAbyssus Essentialを紹介した記事でも同じようなことをお話ししましたが、現在(※)、Amazon.co.jpで「DeathAdder Essential」と検索して表示されるのは最新の「Essential」ではありません。むしろ無印の「DeathAdder(2013)」ですので間違って購入しないようにご注意ください。※2017/7/12時点
Razerは旧製品のキャッチコピーと後続製品のネーミングがかぶることがあります。これは本当に紛らわしい。
以下はAmazon.co.jpで「DeathAdder Essential」を検索した結果。商品タイトル内にも「Razer DeathAdder Essential」の文字を確認できます。しつこいようですが、下記のものは最新の「Razer DeathAdder Essential」ではありません。
いかがでしょうか?
高価なゲーミングデバイスが次々と発売される中で、「Essential」シリーズのように安価でエントリー向けの商品は大歓迎です。
しかし、今回のDeathAdder Essentialに至っては、まるで過去からタイムスリップしてきたようなスペック。DeathAdderはRazerのゲーミングマウスの中ではフラッグシップとなるシリーズだと思っていた私は残念でなりません。
RazerとしてはEssentialシリーズは、エントリー向けというよりは機能を極限まで削ぎ落とした「安い」というだけの位置付けなのかも知れません。ですが、個人的には初めてRazerを知る人が買い求めやすい価格ながら、最低限の良さが伝わる、つまり「Razerファンになるエントリー向け=Essentialシリーズ」となって欲しいなとは思いました。